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『セッション』

映画の感想をもう一つ。こちらは最近観たやつです。音楽映画、とみせかけたスリラー作品かな?一般的には変則的なスポ根映画なんだろうか。私は願望も込めて復讐劇と感じましたが。地元の映画館で平日の夜に観ました。金曜日でもなかったのに割と人が入ってて驚いた。

 

映画好きな人たちの間ではかなり評判になっているそうで。いくつか受賞もしてるし、私も会社の先輩からマッシー(must-see)と、それはもう力強く言われて、ほとんど義務的に観ました(笑)

 
とはいえ、結果としてこれは観て良かったと確かに思いましたよ。もし少しでも気になってる方がいたら絶対観るべきです。それも必ず映画館で。家では魅力が半減するタイプの作品です。私自身、こんなにエネルギーのある映画を観たのは久しぶりでした。きっとあと数週間は気がつくとこの映画のことを考えてしまっていると思います。それだけ影響力の強い、非常に個性のある映画だったと思います。
 
 
(以下、ネタバレあり。極力、映画を観てから読むことをお勧めします)
 
 
 
感想ですが、なんとも書きにくいです。未だにこの映画が面白かったのかそうでなかったのか、自分でも良く分からない。いろいろな感情が渦巻いてて、ネガな気持ちもあり、良かったところもあり、でも手放しで褒める気にもなれない。
 
ただ一つ確かなのは、良くも悪くも非常に強く心を揺さぶられたということです。とくにラストは、もう、抵抗のしようもなく、ほとんど暴力的なほどに、気持ちが昂ぶりました。
映画を観てて、あそこまで登場人物に心底「ク○ッたれ!○にやがれ!!」と思ったは初めてです。主人公にこれ以上ないほど感情移入してました。というかあの映画を観て、最後まで冷静に一歩引いて観ていられる人がいたら凄いと思いますよ。自分には無理です。
 
この映画の解釈は人によってまちまちでしょうけど、自分は「スポ根物と見せかけた反スポ根映画」だと思っています。というのは、ジャズドラマーを目指す主人公が非常にスパルタンな教師に異常なまでに追い詰められつつ高みを目指す話なんですが、スポ根にありがちな、どんなに酷いことをされてもそのおかげで最後は有終の美を飾れて、それまでの悪行が全て帳消しになって「先生ありがとう!」となるパターン、とは微妙に違うからです。
なによりも指導が行き過ぎている。完全に狂気の域に達していて、たとえそれが凡人とは一線を画したスーパプレイヤを育てる為だという大義名分があったとしても、決して許されない部類になっている。あれは指導者としてあまりに不器用すぎるんじゃないでしょうか。サイコパスに近いし、あんなんで良く教授になれたなと思う。最後のなんて指導でもなんでもなくて、ただの意地悪だし。どう考えてもラスト泣きながら抱き合って和解、なんてことには死んでもならない(なって欲しくない)。
 
一般によく言われる、「体罰や精神的な苦痛を与えるのも指導の内であり、適度な負荷を与えることによって負けん気を奮起させ、結果的に能力を伸ばせるのだ理論」は、あながち間違いではないと思うのですが、そうは言ってもリスキーなんですよね。不幸にもその指導方法がハマって飛躍的に伸びちゃう人がいるから良メソッドとして受け継がれちゃうんでしょうけど、ハマらなかったときの弊害が大き過ぎる。この映画は途中までまさにそれを具現化している感じで、まあ観ててしんどい、しんどい。
 
主人公同様、観客も鬱屈が溜まっていって、最後の最後にそれら負の力が開放された結果、主人公が覚醒する(観客はカタルシスを得る)のですが、そのことが寧ろあのク○ッたれ教師の思うつぼだということがまた悔しい。あの、してやったりという顔が憎らしい。あのセッションが終わった後に、主人公はバチを放り投げて、ドラムを蹴飛ばし、教師に飛びかかって、ファッ○ューー!!と叫びながら殴り倒して、それ以降はドラムを辞めるという展開を切に希望したくなります。うーん、自分はこの映画が嫌いなんだろうか(苦笑) 
 
まあなんにしても、センセーショナルな映画であることは確かだと思います。
そして最後のセッションは、そこまでに至る非常に優れた演出も相まって本当に引き込まれます。音の力もさることながら、映像の切れ味がまた素晴らしい。短いカットを音楽に合わせてテンポ良く繋げたシーンが堪らなく格好良いんですよね。
音楽を真面目にやってる方からしたらきっと子供だましのようなシーンなんでしょうけど、素人の私は他愛もなく「すげー」と感じてエンドクレジットでは放心状態でした。
 
なんか、精神的な暴力でマインドコントロールされているような不快感もあるものの、それを承知のうえで敢えて楽しめるのであれば、傑作と言っても差支えないのではないでしょうか。
 
いや、それにしてもほんと、最後、主人公にはあいつを思いっきり殴って欲しかった。それだけが心残りです。
 

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