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『パシフィック・リム』

先日、BDで自宅鑑賞しました。メディアは友人からの拝借です。いつもありがとうAさん!
 
以下、テンションが上がって久しぶりに長文です。興味のある人だけ読んでください。
基本的にネタバレはあまりしていません。
 
 
感想ですが、評判通り人を選ぶ作品でした。が、こりゃー面白いです。一言で言って「子供が観るべき映画」だと思いました。もちろん100%良い意味で。
子供がこういう映画を観て「かっこいい!」って興奮して欲しい。そういう原体験を小さいうちにしっかりさせてあげたい。良い歳したおっさんがそう思わされる映画なんですよね。
 
そういう自分はというと、正直、「特撮怪獣物」にそれほど思い入れがあるわけではありません。ウルトラマンとかもそれほど観ませんでしたし、ゴジラはそれなりに観たけど、あんまり覚えてないしというぐらい。
それでも、この映画はそういう人にも「怪獣物」のどこが面白いかをしっかり伝えようとしているのが感じられる。確かに、こういうのもカッコイイよな、と思わされるわけですよ。
もちろん中には「どこが面白いのかさっぱり分からない」という人もいるでしょう。
でも案外、興味がなかったけど、観てみたら面白かったという方も多いんじゃないかなと。それほど真摯に怪獣映画の良さを追求して、それを観客に味わってもらおうと腐心して作ってる印象を受けました。ようするにデル・トロ監督はじめ制作者たちの強いこだわりを感じたということ。
 
で、何が良かったって、やっぱり巨大ロボット「イエーガー」と怪獣「KAIJU」のスケール感です。
巨大な物へのロマン、畏怖の念。そういった原始的な悦びに触れられるのが一番の良さじゃないでしょうか。
怪獣物でスケール感がもっとも出るのが水の描写だと自分は思っているのですが、この映画でもそこがしっかりおさえられてた。なんせ、戦闘シーンのほとんどは海上か水中ですよ。最初の出撃シーンも雨の中ですし。
水はその粘性の関係で勝手にスケール感が表現されてしまう特性があります。そのため実写特撮では水よりも粘度の低い液体を水に見立てて使ったり、再生速度を遅くしたり、それに合わせて演技をスローにしたりと苦労するわけですが、CGだとそういった面倒が無い。むしろ積極的に水の描写を多くしてスケール感を出すという作戦なのではという気がしました。
 
対して、それ以外の要素、構造物の剛性についてはあえて現実性を無視しているようなところがあります。
例えば地面の硬度。無粋であることを承知の上で言うと、通常のアスファルトではあの巨大なイエーガーの重量を、あの足の裏ぐらいの面積で受け止めることはできない。中盤で主人公のイエーガーが武器として使っていた巨大タンカーも、あんな速度で振り回したら慣性力で自ら曲がってしまう。もしかしたら、船の真ん中を持ち上げるだけで自重で折れるかもしれません。でも、そんな細かいことはどーでもいいんです
この映画では、そういったリアリティは恐らく意図的に無視している。水の描写と違って、そんなところを精密に再現しても怪獣映画として面白くならないからでしょう。その割り切りがとても良い。
 
もうひとつ良かったところはテーマ曲。いやぁ盛り上がるんですよこれが!使われているシーンと凄くマッチしていて。ほとんどプロレスの入場曲なんですけどね。なんというか、聞いているだけで無条件にテンションがあがる感じ。
これは要チェックだな、と思って最後のテロップをみたらコンポーザーにRamin Djawadiの文字が。アイアンマンの人だー!と一人夜中にガッツポーズ。40前のおやぢが何やってるんでしょうね。ただ、なるほど、言われてみれば曲風が同じだと思いました。
 
 
さて、いちおう個人的に残念なところも書いておきます。
(以下、ちょっとネタバレするのでご注意ください)
 
巷では「尺が短すぎる」(2時間半ぐらいあるんですが)とか、「ロボットアニメのラスト三話を強引にまとめたようなストーリー」とか一種、愛のある批評がされてますが、それも確かにあるんだけど、自分が言いたいのは一つだけ。
 
「日本のイエーガーをもっと活躍させてくれよ!」
 
これに尽きます・・・ほんと、頼むよデル・トロ監督。日本文化リスペクトしてくれてるんじゃなかったのかよってツッコミを入れざるにはいられない。たぶん日本人の観客のほぼ全員がそう思ったと思うけど(笑)
 
でね、こうなるとやっぱり日本のクリエータにこそ、こういう作品を作って欲しいなあと思っちゃうわけですよ。
日本ではもう過去のジャンルとなってしまった感がある怪獣映画だけど、パシフィック・リムを観て、悔しくなって、自分ならもっと違う表現や演出をするのになあと思ってるクリエータさんがいてもおかしくないんじゃないか、と。
そういうきっかけを、この映画が作ってくれていて、いつの日か日本人監督によるアンサームービー的な作品が観れたら良いなあなんて妄想してしまう。日本のクリエータならもっとはったりの利いた「ケレンミ」のある映像が作れるはず。もちろんアニメでもいい。
それには、才能のある埋もれた人材を掘り出して、良い意味で出汁にしてお金を稼げる敏腕プロデューサー(?)みたいな人が必要なのかもしれません。デル・トロ監督なんて誰がどうみても立派なオタクだけど、でも、その人の中の非凡な才能が認められて監督業をされているわけで、誰かが見出しているんですよね。日本でも、こういうディープな人ならではの才能を買って監督に抜擢される、なんてことがあると良いんですが・・・・なんとなく、国民性からして難しそうな気がしますね。
 
ちなみにデル・トロさん、次こそは「アット・ザ・マウンテン・オブ・マッドネス(狂気の山脈にて)」の映画化をお願いします。いちクトゥルフファンとしていつまでも待っておりますので。
今のところ主役もトム・クルーズということで、公開されたら映画館に行くのは「義務」と考えております。はい。
 
あと蛇足ですが、トム様と言えば「戦闘妖精・雪風」も制作が本格始動したとの報道が少し前にありましたね。ただあれ・・・・雪風の原作好きで、トム・クルーズファンでも・・・・無いです。組み合わせが悪すぎる気がします。
万が一、原作ファンも映画ファンも唸るような傑作がうまれたら、奇跡としか言いようがない。普通に考えて、かなり難しいのではないかなぁ。
というわけで、あちらは公開されても映画館まで足を運ぶかは微妙な感じです。ごめんなさい。
 
 
話が盛大にそれましたが、パシフィック・リム。しっかり楽しませてもらいました。
ヒロインの声が綾波レイにしか聞こえないともっぱらの噂の、日本語吹替版も忘れずに鑑賞しておこうと思います。
 
 

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