« July 2009 | Main | September 2009 »

映画Week(四日目)

(※以下、物語の核心に触れた文章があります。未見の方はご注意下さい。)

四日目は『テラビシアに架ける橋』。ファンタジーのコーナーに置いてあったけど、テーマは少年の成長物語で、どちらかというと人間ドラマ系でした。初日から三日間、重い作品ばかり観てきたのでここいらで一休みしたくてこれをチョイス。結論から言うと「まあまあ当たり」だったと思います。

まず原作を先に読むべきだったと少し後悔しました。随所にみられる「端折った感」がかなり気になります。いい話なんだけど、ちょっと尺が足りてないというか。必要最低限のエピソードだけ抜き出してるのではないかな。
あらすじは、アメリカのド田舎に住む少年が、転校してきた美少女とたくましい想像力を駆使して近所の森の中に二人だけの秘密の王国、テラビシアを妄想、もとい、創造する、とかそんな感じ。見方によっては典型的なボーイミーツガールものなので、いい歳したオジサンを甘酸っぱい気持ちにさせてくれる。「うーん、若いねえ君たち」とか言いたくなる。
主人公の少年は社会生活(家族との関わりとか学校とか友達とか)に若干の問題があるという設定で、まあそれが転校生と仲良くなるうちに心を開く方法を学んで解決していくと。正直この辺は結構ベタな展開だと思いました。もともとそんなに問題があるようにも感じられないところも個人的には甘い演出だと思います。(「ダークナイト」を観た直後なんでそう感じるのかも)
んで、こういう話を観て思うのは、やはり人間社会で生きてく上で自分の世界(想像力や感性)と現実とのバランスはちゃんととりましょうってこと。バランスさえとれてれば、そういう「拠り所」をもたない人間よりもずっと強くなれるのだから、何も捨てることはないのです。この作品に出てくるお父さんのように、息子に現実をみることを忘れさせないと同時に、自分の感性で空想することの大切さもちゃんと教えられたらベストですね。まあ現代ではその空想が不健全な方向にいき易いという問題もありますが・・・。右へ習え、長いものに巻かれろ、みんながやってるから、みんなと一緒なら安心、という風潮が未だにある日本において、自分独特のものを大切にすることを教えるのは、難しいけれど本人の為にも必要なことだと思います。
こういう内容なので、この作品は原作の小説を読む方が主題を理解し易いのではと思います。得るものもきっと大きいのではないかな。とりあえず本屋で見つけたら即ゲットしようと思いました。

■総合評価
ストーリー   ★★★☆☆
キャラクター ★★★☆☆
世界観    ★★★★★
音楽     ★★★★☆

■この映画に向いてる人
 ⇒ マイノリティの気持ちが分かる人。もしくはアナソフィア嬢の眼力にやられちゃった人

■向かない人
 ⇒ あれ?エルフとかドワーフはいつ出てくるの??とか求めてるジャンルが違う人

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

映画Week(三日目)

(※以下、物語の核心に触れた文章があります。未見の方はご注意下さい。)

三日目は『ダークナイト』を鑑賞。
バットマンのシリアス系タイトル第二作目ですね。暇をもてあました富豪が金を湯水のように使ってゴッサムシティの悪党をいじめる痛快ヒーローもの。かと思ったら大間違いですのでご注意下さい。まあ大筋ではあってるんですけど。

うーん、それにしてもなんて完成度が高い作品なんだろう。個人的な好き嫌いはさておいて、間違いなくこの映画は傑作だと思う。クリストファー・ノーランは『メメント』に続いていい仕事をしてますね。
ただし人を選ぶ内容なのも確かだと思います。もともとヒーロー物なのに敢えてその伝統手法やお約束を無視するところ。それから人間の悪意をこれでもかとちりばめて、それらが回収されない(ヒーローによって打ち砕かれない)、そういうインモラルでカタルシスの少ない演出にも耐えられない人がいるのではと思いました。特に年配の方とか女性とか。
個人的に好きだったのは、台詞や小道具の使い方がスタイリッシュだったところ。とても洒落ていて、観ていてニヤリとしてしまうところが多々ありました。特に気に入ったのが正義感の強い検事が持っていた両表のコイン。恋人を惨殺されて心のダークサイドに堕ちたあとの使われ方も含めて秀逸な演出だったと思います。
終盤、爆弾を仕掛けられて人質にとられた2隻のフェリーの乗客が、他方のフェリーを爆破するスイッチを渡され、スイッチを押せば自分たちのフェリーだけ助かると説明されるシーンがあり、要するに「囚人のジレンマ」の亜流だと思うんですが、ここで乗客たちは、どちら側も押さないと2隻とも爆破されると説明されているにも関わらず、結局、両乗客とも「押さない」ことを選択する。それによってゴッサムシティの市民にはまだ善意が残っていることが証明されるという演出があるのですが、このシーンで救い(カタルシス)を感じるか、それとも甘いストーリーだと白けるかで評価が分かれそうな気がしました。ちなみに自分は「ほっとした派」です。それまでの展開を考えれば不自然な気もしますが、この映画のタイトルは「ジョーカー」ではなく「ダークナイト」ですから。最後までジョーカーの思惑通りで終わってはナンセンスだと思います。
それにしても本当にシリアスな話でしたね。正直ここまで真面目に描かれると、ヒーローものだということを忘れて、さっさとFBIなり軍なり呼んだらどうかと無粋なことを考えてしまいそうになります。あれはもう悪党とかいうレベルじゃなくて立派なテロリストだと思うんですけどどうですかね。バットマンは例によってただの富豪のお遊び程度の力しかないので(本人は大真面目なんだけど)どう見ても荷が勝ちすぎているように思えました。もちっと話のスケールを抑えた方が個人的には好みです。

■総合評価
ストーリー   ★★★★☆
キャラクター ★★★★★
世界観    ★★★★☆
音楽     ★★★☆☆

■この映画に向いてる人
 ⇒ マギー・ギレンホールのほうれい線がむしろセクシーだと思う人(※自分とか)。

■向かない人
 ⇒ こんなノリの作品にも関わらずキャットウーマンの登場を今か今かと期待しちゃう人

 

| | Comments (0)

映画Week(二日目)

(※以下、物語の核心に触れた文章があります。未見の方はご注意下さい。)

クローバーフィールド/HAKAISHA』を観ました。会社の人が後味が悪い作品シリーズの一つとして挙げていたのを思い出し、前日の『ミスト』つながりで借りてみたわけです。

いやー気持ち悪かった。ラスト20分ぐらいは吐き気を堪えるので精一杯でした。作品自体は平たく言えば特撮怪獣モノで、突如ニューヨークを襲った謎のクリーチャー群によって主人公たちが翻弄され、ボロボロになり、最後に死ぬまでの約80分を「記録」した映像という趣向になっています。それの何が気持ち悪いかというと、撮影手法がハンディビデオ(という設定)なんですよね。だから手振れ(っぽく見せる演出)が激しくて、乗り物酔いをする性質の私は始まって数分しないうちに早くも苦いものがこみ上げてくる始末でした。
それはそうと、この作品が力を入れているのが「臨場感」や「リアリティ」だというのは間違いないところで、そのうち前者はぼちぼち表現できていたかなと思います。さすがJ・J・エイブラムス、『トランスフォーマー』に続き、派手な爆発とわけのわからないカオスな戦場を描かせたらピカイチだなと感じました。(※9/4訂正: すみません『トランスフォーマー』の監督はマイケル・ベイでした・・・勘違いしてました)それとやはりハンディビデオの映像という演出が少なからず貢献していましたね。
ただ「リアリティ」の方が個人的にちょっといただけない。主人公の友達が偶然持ち合わせていたカメラでこの未曾有の惨事を「記録」した、という設定なんですが、それがむしろリアリティを損ねていたように思えてなりません。一般市民がこの常軌を逸した状況でビデオまわしてる余裕あんのか?と疑問を呈する人もいますが、そこはたいして問題じゃないと思っていて、なぜかというと、あれだけニューヨーク市民がいれば、中にはあの状況でビデオ撮ってるバカがいてもおかしくないと思うし、そういう人の周りをクローズアップして切り取った作品だと考えれば不思議じゃないからです。主人公はストーリー的に何も特別な人ではないですから。それよりも私が惜しいなと思うのは、一般市民が偶然撮影した映像という割には完成度が高すぎるところです。途中から素人の撮影ってことを忘れてしまうぐらいの構図、パースのとりかた、あまつさえ重要なシーンを絶対に撮り逃さない精神力。プロのカメラマンでもあの混乱した状況でここまで撮れないんじゃないかと思うぐらいです。凄いぞハッド。なんせ自分が異形の怪物に食べられるシーンですらカメラを正面に構えてるぐらいですから。どんだけ根性あるんだよ。お前生き残ってたら絶対ABC放送とかにスカウトされるって。
実際、素人映像を観てて辛いなと思うのは、「手振れ」だけじゃないと思うんです。大事な部分が写ってなかったり、まわし始めるタイミングが悪くて意味のない映像がずっと続いたり、音声が割れてたり、露光が調整できてなかったりってのが実際によくある「素人映像らしさ」じゃないでしょうか。そういうのも少しはあったけど、個人的にはリアリティを演出するには足りてないと感じました。とはいえ、この映画は全編が記録映像という趣向になっているので、その中で観客に最低限の状況を理解させるには、ある程度クオリティの高い映像を作るしかなかったのかもしれませんね。

いろいろ批判的なこと書きましたが、なんだかんだでチャレンジングで興味深い作品だったと思います。よく知らないので詳しくは触れませんが、マーケティング的にもかなり頑張っているらしく、予告編の作りが凝ってたり、作品の世界観を盛り上げるための実在しない企業のWebサイト(かなり本物らしく作られているらしいです)があったり、他にも様々な手法で「謎」を散りばめているそうです。そういうのが好きな人はかなりハマるんじゃないでしょうか。

最後にタイトルの意味ですが、一説によると「クローバー」は放射能標識を意味していて、最後に主人公達が死んだ場所であるセントラルパークが、核攻撃によって放射能に汚染された地域(フィールド)になってしまったことを暗示しているのでは、ということのようです。他にも諸説あって真偽のほどは定かでありませんが、まあエヴァと同じでこういう説明不足な作品って結構日本人好きだよなとか思ったりしました。

■総合評価
ストーリー   ★★★☆☆
キャラクター ★★☆☆☆
世界観    ★★★★★
音楽     なし

■この映画に向いてる人
 ⇒ いつも何か非日常的なことが起きないかと期待している平和ボケな人

■向かない人
 ⇒ このハンディカメラの露光コントロールプログラムはどうなってるんだと、思わず映画製作会社へ問い合わせしそうになっちゃう人

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

映画Week(初日)

お盆休みに入りました。小さな子供がいるので今年も旅行の予定はなし。地元のお祭りを巡ったり、兄貴の家に遊びに行ったり、息子の誕生会をしたりという感じです。
私的には最近また映画熱が高くなってきたため、連休中はゲームをお休みして寝る前に映画を観ることにしました。

というわけで、今週は映画のレビューWeekです。時間がなくて全部紹介できない可能性も高いですが、まあこういうのってただの自己満足なので気にしないことにします。ネタバレごめんの剛直球でいきますのでこれから観ようと思ってる方はご注意下さい。

まず一本目は『ミスト』。いきなりB級映画ですね。われながらファニーチョイスです。
スティーブン・キング原作のオカルト映画。アメリカの片田舎を突然襲った「霧」と地震によって主人公を含めた数十人がスーパーの店内に閉じ込められるところから物語りは始まります。というかそのスーパーの店内で物語の9割りが語られ、残りの1割でちょっと外に出て終わるという、まさかの密室系群集劇。私はてっきりツイピークスばりに田舎町のあっちやこっちで怪しい話が展開すると思い込んでいたので肩透かしをくらいました。この手のって低予算で作れるメリットがある反面、よほど脚本が良くないと話が中だるみするという危険性があると思うのですが、まあこの作品は頑張ってる方だった気がします。
ちなみに結論から先に言うと、「霧」は軍が極秘に研究していた異次元への扉が誤って開いてしまったことによって流れ込んできたもので、一緒に異形の者どももこちら側へ進入してきて人々を襲っているという設定。出てくるクリーチャーは登場順に「蛸足のようなもの」「虫のようなもの」「ビヤーキーのようなもの」「大型重機サイズの恐竜みたいなやつ」「超巨大な多足の何か(山ぐらいある)」という感じで、まあ私はバカの一つ覚えのように「ラブクラフト系か・・・」と独り納得しながら観ていたわけです。古き印ぐらい書いておけよおまいら(※たぶん効果ない)
スーパーの外に出るとすかさず捕食されるため、逃げるに逃げられず閉じ込められてしまった人々が例よって日常的な思考能力やモラルを失って暴走し始めます。今作では宗教家が大人気で、気がつくと店内が信者でいっぱい。この霧は奢った人間への罰だから素直に受け入れろとか説いてる割には生贄を差し出すと助かるとか分けわかんないこと言い出す始末。この辺はいかにもスティーブン・キングです。とりあえず主人公は自分の車で逃げようと、まだ信者になっていない数人を誘って脱出の算段を整えます。んな危険なことしないで様子みた方がいいんじゃないかと思ってたら、夜になると虫みたいなのが凶暴化して窓を突き破って侵入してくるみたいで、まあにっちもさっちも行かない状況でしたね。パーティーメンバーは主人公、その息子、若い教師の女、スーパーの店員1、店員2、おばあちゃん、おじいちゃん、の計7名。そのうち戦闘力があるのは、斧を持った主人公と小型のリボルバーをもった店員1だけ。ただしこの店員1が何かの射撃大会で優勝したとかって設定で命中率が異常に高く、かなり使える。頼りない見た目とのギャップがいい感じでした。
んで、宗教一派とすったもんだして大きな犠牲を払ってスーパーを飛び出てみたところ、生き残ったのは主人公と息子と女教師とじいちゃんばあちゃんの5人だけ。そのあと車のガソリンが尽きるまで霧の中を走ったけど結局霧が晴れるところまでは進めず、あえなく万事休すとなります。
ここまで観て結末が読めない映画だなーと思ってたら、その後まさかの集団自殺。怪物に食われて死ぬぐらいなら銃で楽に死なせて欲しいという理屈で満場一致。分からなくもないですが、ここまで頑張った割にはお前ら諦め早いなと思わずにはいられない。直前で見た山ぐらいある巨大な異形のシルエットが絶望感を与えたというプロットっぽいですが、観てる人がどこまでそれに共感できるか・・・・。ちなみにリボルバーの残弾が4発しかなかったため、主人公は自殺できず、諦めて車の外にでて泣きながら「カモーン!!!」と霧の向こうに叫んでたら、そこから軍の大群が現れて無事保護されるというオチでした。

なんだろうな。どこまで感情移入できるかによって評価が変るんだろうけど、自分の手で息子を殺めてしまった直後に自分だけ助かってしまうという皮肉、この世の無常さを素直に感じ取れるかというと、実に微妙なところです。ハリウッド映画としては確かに珍しいパターンだけど、こういう悲劇(喜劇)ってシェイクスピアを引き合いに出すまでもなく昔からあるわけで、ただ、安易にそういう結末を使ってしまうと余計チープになる諸刃の剣だと思うわけです。本作はギリギリ及第点というのが私の評価かなぁ。もう少し「どうしようもなさ」「無力さ」「絶望感」みたいなものが演出されていればオチに説得力がついただろうにと思いました。

■総合評価
ストーリー   ★★★☆☆
キャラクター ★★★☆☆
世界観    ★★★★☆
音楽     ★★☆☆☆

■この映画に向いてる人
 ⇒ クリーチャーの造形を見て「いあ!いあ!くとぅるふ ふたぐん!」とか呟いてテンション上がっちゃう人

■向かない人
 ⇒ ラストで、「素直にガソリンスタンド探せば良いんじゃね?」とか冷静なツッコミ入れちゃう人

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« July 2009 | Main | September 2009 »