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『地下鉄に乗って』読了。

バイクが不調だったので、今週はずっと電車通勤でした。
往復の2時間を有意義に使うため、実家の母から借りた表題の小説を読むことに。
ジャンルは大好きなタイムスリップ物。しかも浅田次郎です。

感想は「素晴らしい」の一言でした。
自分的には、ほぼ満点。
例によって深い人情話もあり、モノレールの中で何度か危険な状態に陥りましたが、こめかみにぐっと力を入れて乗り切りました。
ちなみに舞台になっている新中野は実家のすぐ近くなので、「鍋屋横丁」などの馴染み深い単語がちらほら出てきたりして、そういった意味でも面白かったです。

それにしても久しぶりに浅田先生の作品を読みましたが、やっぱりこの人は素晴らしい作家さんだなあと思いました。地の文を読んだとき、自然と情景が浮かんでくるんですよね。あの感覚、もう忘れかけてましたね。ドラゴンランスを読んでるときも情景を思い浮かべながら楽しみましたけど、あっちは「自然と」というよりも、地の文に書いてないことまで「勝手に妄想している」って感じでしたしねえ。やっぱり上手な作家さんの文章は違うなと。
というわけでもし私が誰かに読書の楽しさを伝えたいと思ったら、迷うことなく浅田次郎の本を薦めますね。ただストーリー、プロットが優れているから、というだけではなくて、小説という媒体がもっている本来の面白さ、素晴らしさを感じさせてくれる作家さんだと思うから。もちろん他にもそういう作家さんはいっぱいいるんでしょうけど、今のところ私の中では浅田次郎がイチオシなのです。

 

閑話休題。

 

活字ばなれがどうのって言われて久しいですけど、現実以上にリアルな映像すら安価に創造して様々なデータ形式で世の中に配信できるこのご時勢で、受け手の想像力へ訴える、という面倒くさいスタイルが流行らないのは仕方のないことなんじゃないかなあと思うときもあります。TVだけでなく、PCや携帯電話で手軽に動画が楽しめるというのに、文字だけの情報から自分で人物や情景を組み立てて物語を楽しむという手間のかかる作業を何故しなければならないのか?という話です。

でも、今回のような素敵な小説を読むと、やっぱりそうじゃないなーと思うわけです。
自身の感性を交えることで初めて得られるものが、確かにある。
でも例えば自分の場合、好みの小説なら苦にならなくて最高に楽しいけど、嫌いなジャンル、思想、文体、ストーリーになると、とたんに面倒くさくなって最後まで読まずに放り投げてしまう。人それぞれだとは思うけど、どんなものでもとりあえず最後まで読めるという人が、実はかなり羨ましいです。小説の良し悪しってある程度、読む人の感性、想像力に左右されるじゃないですか。自分があまり面白くなかったと思う本を、違う観点から読んで楽しんでいる人がいて、再読したら確かに面白かったということが昔あって、そういうのはちょっと悔しいなと思ったりします。
懐が広い人って得ですよ。人生は楽しんだ者勝ちですから。

 

余談ですが、高校時代にラジオ好きの友達がいて、よくその人からオススメのラジオ番組を録音したカセットを借りて聞いていました。その中にサントリーが提供しているドラマ番組があったのですが、私にとってはそれが人生で初めて聞いたラジオドラマで、とても新鮮でワクワクしたことを今でも覚えています。小説でいう地の文が朗読されるので想像力が刺激されるんですよね。

 

焚き火を囲んで語り部の言葉を聞いたりとか、もしそういうのが現代にもあったら、きっと自分ははまるクチだと思います。

 

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Comments

浅田次郎いいよな~。
わたしは「プリズンホテル」「椿山課長の七日間」が好きなので、どちらかというと異端なのかもしれないけど。

小説好きの戯言ですが。映像は判り易いんだけど物語の進み具合が遅くて困る。ドラマ1時間見てもちーっとも進まない(ような気がする)。小説は内容にもよるけれど1時間読めば随分進む。時間のスケールの差が大きいと思うわけなのです。
良く出来た映画はそういうの気にならないけど、映像のほうが情報過多なんだろうな。小説は情報が不足しているともいえるけど、自由に妄想すればいいわけだし。相性の問題でしょうけどね。

Posted by: ササキ | October 13, 2007 at 10:28

プリズンは俺も好きだな。
浅田次郎はヤクザ物が主流って噂もあるし異端でもないんじゃない?
椿山課長は読みたいと思いつつ未読なんだよね。
オススメなら買っちゃおうかな。

自分のペースで進められるってのは確かに重要だなー。たいがい映像になると遅いんだよね。小説とか漫画の実写化とかすると時間に収まりきらないことが多い。映像作品の魅せ方と小説のそれとは全然違うんだろうなとか思う。たまにグインサーガみたいに読んでも読んでも話が進んでない気がするものもあるけど(笑)あれは例外か。

映像は情報が多いけど、小説に比べて押し付けがましいという側面もある気がする。演出の仕方によって「こう観てくれ」ってのが強く出すぎたりして、好みの演出じゃないと鼻についたり。確かに相性の問題だとは思います。

Posted by: 通りすがりの管理人 | October 13, 2007 at 12:28

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